« 坐禅会に行ってきました | メイン | 無料化社会実験と流体力学実験 »
2010年07月13日
桃次郎のこと 其の四
最近は午後10時になると鳴き声が変わってくる。発情期のそれだろうか・・ニューハーフにもそれがあるんだろうか。
まずは、居間の南の窓、続いて東の窓、北の窓と様子をうかがってから二階に上がっていく。子供等の部屋はドアになっているので窓が開いている気配を感じても入室できない。
わたしの部屋は3枚引き戸のふすまである。ついこの前までは開けられないでいたが3日ほど前から自在に出入りするようになった。爪をたて、牙をたて、ふすまの変形を成しとげたのである。
窓をこじ開け網戸を破り屋根の上を歩く。元来臆病な上、家猫の時代が長かったため飛び降りることはできない。カツカツと音を立ててただ歩くのである。わたしがオヤツを持って迎えに来るまで。
専務のつぶやきアーカイブを見ていたら「桃次郎はイケメンである」という予告をしていたのを思い出した。
彼が我が家に来た頃の話である。最初のワクチン接種のためにT動物病院に連れて行った。会計を済ませ、帰り際に診察券を受け取った。ショックであった。
名前の欄には「モモ」猫種の欄には「サバトラ」とボールペンで走り書きされていたのである。
『あの・・・名前が違うんですが・・・』
『あ、そうですか。書き直しておいてください。』
『・・・はい・・・』
会話はそこまでである。〔えっ、アメリカンショートヘアじゃないんですか・・・〕言葉を飲み込んだ。
確かに彼の来処は定かではない。
出生地・・・・不明
生年月日・・・・不明
父親・・・・不明
母親・・・・不明
血統・・・・当然不明
発見場所・・・・松川河原
発見日2009年8月27日
以上が桃次郎に関する情報の全容である。
しかし、どう見てもアメリカンショートヘアではないか!ブリテッシュショートヘアの正統な流れを引き継いだ確固たるアメリカンショートヘアである。
小顔で四肢の長いその体型、毛色と毛並み、流れるようにしなやかで凛とした尻尾、西洋人を思わせる少し媚びた眼差し。
タキシードを着せたらニューヨークのナイトクラブでもラスベガスのカジノでも充分通用する生粋のアメリカンである。
ペットフードの袋や缶詰の写真と全く同じではないか。様々な心の葛藤を抱えたまま帰宅した。
それからは、ちょっと下を向いて、上目つかいに、すねた言い方で、自嘲気味に
「うちのネコは、拾ったサバトラです」というのが口癖になった。
心の中で叫ぶ〔桃次郎は正真正銘のアメリカンショートヘアです!見る人が見ればわかるんです!〕